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星が降る ②

 星が降るとは穏やかでなかった。円盤が現れたのだ。ナントカ星人が降りてくるのかとドキドキ見守っていると、果たして太陽人、月人、火星人らの七人のサムライが姿を見せた。
「毎度、我々の名を冠した曜日をお使いいただき、ありがとうございます。一部の方からご意見を頂戴しました。
『一週間はなぜ7日なの? 基督教徒が神は7日で世界を創造したから、と決めたせいで、10進法とも12進法とも決して相性の良くない7がしゃしゃり出ている。なぜ地球デー、天王星デー、海王星デーはないの? 新たに創設して一週間を10日にするべき』
というものです」
 そのほか太陽人および月人の、惑星と並ぶのは居心地が悪いという主張やこのチャンスにワシもと割り込みを目論む旧冥王星人の件はひとまず見送りにされたようだ。

「地球人を代表して、」
立ち上がった男がいた。まあ奴が妥当だろうな、こんな場合は。 すると
「なんでオマエが」
と言いたげに別の男も必死に挙手しているではないか。コイツだ、コイツのせいで。そりゃヨソのモン黙ってムリやり貰えば楽さ、こっちはちゃんと金払ってたろ? それなのに奴が困らせてやれもう買うなよ仲間外れになりたいのかって脅すから。ホントは買いたいけど痩せ我慢さ、エネルギー資源とか。
星が降りませんよカツマデハ!



「ママ、おやつ買ってもいい? ちゃんと九九覚えるから」
値上がりした菓子類を娘が指差す。
「3割引のなら。7の段で計算してごらん」
(金曜日はママの機嫌がいいわ)
上空でのやり取りをよそに親子はレジに向かった。


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