「タイムスリップコップ」邯鄲の豕編
三兄弟はホットミルクを飲もうとしてレンジに器をいれてスイッチを入れた。ミルクが温まるのを待つあいだにノンビリ屋の長男が口火を切った。
「オレは将来、オヤジの農場を引き継いでハーブでも育てるかな」
するとこすっからい次男が言った。
「馬鹿だな兄貴は。ポークの香草焼きにされるのがオチだぞ。(でももし兄貴のビジネスがうまく行ったら擦り寄って養ってもらうのも悪くないかもな)」
正義感の強い三男は、
「オレは、自分の幸せも大事だけと世の中の平和に貢献したいなあ。いつか刑事になって悪い奴を取り締まる」
そのときどこかで「チーン!」という音が響いた。
畑にタイムが伸び放題な農家のお百姓さんと彼を狙ったスリと犯人を逮捕したコップ(刑事)が三つ巴で向き合っている。
キッチンに母親が入ってきた。
「まあ、お前たちったら何てことを。この魔法のコップは耐熱性じゃないのよ」
もうヒビ(日々)は取り返せない。三匹の子豚は一炊の夢から目覚めなかった。
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