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「初めての鬼」#54字編


『試験会場は自宅からみて北東の方角にあった。1時間目は相性の悪い数学、はたして奇抜な問題ばかりが並んでいる。』

 これは何だろう? 
ああ、そうか、 #54字の物語だな。
テーマはクイズ。
答えは「きもん」、と。
そこまで考えたところで試験官がやって来た。赤鬼だ。角を生やして縞々パンツに鉄棒を持っている。
ぎろりと睨まれた。
うわあしまった、目が合ったよ。
「難しいです、降参です、さすが鬼の狭キモン!」
すると鬼は『失格』の印をポンと押して用紙をボクに押し付けた。

「うーん」
「あっ、気がついた」
ボクの布団を取り囲んでいた大勢の家族がどよめく。
「しっかりして! 何よ鬼講師にしごかれたくらいで失神したりして」ママは涙目だ。

 後でばあちゃんが、
「ふっふっふ」と笑った。
「あたしには、まだ鬼じゃない、力がある」
「?」
「いずれは初めて赤鬼もタジタジさ」
「……わかったよ。『魅力』だね」
ばあちゃんのこういうところ、相手を選ぶかもな。

404文字

これは前作のホームドラマ編の続編です。ママの渡る世間のばあちゃんが登場します。最初は
「この家から初めて『鬼』になるのはアタシだからね」というオチを考えていたのですが😅先を越されまして💦

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