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ねこクインテット ① カイダン編

「ねえばあば。この本なあに? 怖いお話? ボクに読んでよ」
ヒロシが祖母にねだった。祖母のミネコは息子夫婦から飼えなくなった猫を譲り受け、また短期的に孫の世話も頼まれていたのだ。ちょうど公民館の講習会のテーマが小泉八雲で、怪談にも色々あるものだと感心していたところであった。
「これは『幽霊滝の伝説』よ。肝試しに赤ちゃんをおんぶして賽銭箱を取りに行くお話なの。詳しくは大きくなってからね。とにかく欲張りはよくないわね」
赤ちゃん、という言葉にヒロシがぴくっと反応する。
「ボク知ってるよ。赤ちゃんのせいでミケは追い出されたんだ。いまにボクも」
「何をばかなことを」
とミネコは笑った。

 やがて桃の節句の礼状と記念写真が届いた。「オフクロ、張り切り過ぎだよ」
「場所とるし片付けるのも大変」
そんな声が聞こえるようだ。七段飾りの緋毛氈の下の方のクインテット。首があるべきところにキティちゃんの無表情な顔が差し替えられていた。

404文字


やはりすでに出ていました五人囃子😓


たらはかに様のお題に参加しています。

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