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家事よ家事、この世で一番relayなのはだあれ

 家事が最小限でも死ぬわけではない。掃除なぞしなくても三食カップ麺でも個人の自由。そんなふうに開き直るには何年もの時間が必要だった。例えば子どもには個性もあれば出来不出来もある。一度言えばでわかる子もいれば百遍繰り返す必要がある子も。
「先生にだってタイプの違いがあるわ。樹脂とか陶器とか。淵があっても根気良く声がけを続けなければ」
「うるせーな、いっぺん言えばわかるよ!」
飲み込みが早く効果てきめんの長男。のんびり屋の次男は違う。繰り返し声がけが必要だ。「ごめんねママが悪かった、あなたの良いところは誰とでも上手くやれるところよね? 焦らなくでもいいのよ」
と顔を見るたびに。要するに子育てでなくトイレ掃除の話で、長男塩素系次男中性洗剤の比喩だ。

 そんな私でも来客とあれば焦って見栄を張らざるを得ない。
「急な話で悪いけど家に泊めてくれない? イミド、ウミド、エミドより」
この人たちが誰なのかといえば過去の私どもだ。まだ若くて自分の未来に希望を捨てきれずにいる面々。タイムマシンでやって来る彼らのために布団を干し食材を確保し掃除機やクイックルを駆使する。
「いっそみんなで旅行でも行けば?」
息抜きしたい夫の勧めが入る。よっしゃーと、るるぶを購入し宿を予約する。
「もしもし、四人泊まれる部屋ありますか」
すると
「あ、悪いけどjtbさん通してくれる?」
は? となるところだが、この人も家庭的サービスが売りの民宿経営に疲れを感じているのだ。わかるよその気持ち。客があるのは嬉しいけど部屋の準備が面倒くさいのは本音だよね? 結局、値段で選んだその宿に決めたけど。もしも我が家が民泊ホテルだったら? 布団とご飯と清潔な風呂と部屋の提供を心がける必要がある。その心構えを忘れないことです、お金にはならないけどね?


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