見出し画像

呪いの臭み ③

 呪われた王子と臭み姫の婚約がととのった。政略結婚だ。四人の子に恵まれた。呪われた長男と臭みの次男と呪われかつ臭みの三男と特徴のない四男だ。

長男は陰陽師となり開運本を書きベストセラー作家となった。
次男は匂い研究の第一人者となった。
三男は盛り塩や消臭剤の売り上げで巨万の富を築いた。

 四男は自分ほど不幸な人間はないと嘆いた。親兄弟と顔を合わせるのは気が重かった。
「我が家のホープ!」
もてはやされても外では何の自慢にもならないし、身内価格で手に入る消臭除霊グッズの有り難みもなかったから。

 やがて時が流れて、呪いは解けた。臭みも拡散されて消えた。だが切磋琢磨して得た生き残る力は消えなかった。
「よかったね兄さんたち」
あくまでも普通の人生を送っていた四男は『呪いの臭みに囲まれて生きた日々』という手記を発表することにした。自分もまた非凡な人物なのだとアピールしたかった。その夜魔女が夢に現れた。
「お前は父親の王子にソックリだ」

410文字

たらはかに様のお題に参加しています。

いいなと思ったら応援しよう!