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iroro
「ショートショート王様」七夕篇
笹の葉さらさら。
少し早いけれど短冊に願いごとを書こう。
『ショートショートの王様になりたい』
すると口の悪い親父がからかう。
「何だお前作家になりたいのか。サッカー王者になってシュートシュートじゃないのか」
ああ面倒くさい。
「ごめんください」
ああ面倒なのがまたきたぞ。
「はじめまして、タカシくんの担任の松濤と申します」
ショウトウは英語科でサッカー部顧問だ。ゴールが決まる前はシュートだが決まった後はショットだぞ、しかもその発音はシャットだ、なんてネタを延々と始めるので要注意だ。
「こりゃ先生、馬鹿息子がいつも世話になってます。今日はぜひコイツの進路について相談にのってください」
すると松濤はエヘンと咳払いをして、
「実はその件も重要ではありますが」
おや姉ちゃんも一緒? いつのまにかショウトウの横に姉がいた。
「お義父さん、娘さんを私にください」
嘘だろ姉ちゃんとショウトウが織姫と彦星、
つまり親父は、シュウトシュウトのオッサンか?
410文字
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