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「ビール傘」② たらはかに様おめでとうございます編

 我輩は猫である。つまり猫に扮してひとり例の大阪のテーマパークにて遊んでいたところ、いきなり雨が降ってきた。あいにくと売店の傘はすべて売り切れである。だが我輩は見逃さなかった『ビール傘あり〼』の張り紙を。ただちにそれを求むるに店主、身分証の提示をと言うではないか。何と我輩が未成年とはいかなることか、そうか猫だもの齢はわかるまいと笑い教務課の通行手形を懐より取り出だしたれば店主恐縮することしきり、ささどうぞと傘を手渡し、冷えたるジョッキも手渡す。我輩は面食らいこれは如何なることかと怪しみたれど言わず、そうかビール傘なるアトラクションだなとそのビールを口にする。ではこちらへとふらつく足取りでその傘、いな落下傘を手に一気に高みより滑空すれば天地は逆転し猫の姿のまま遠く彼方へと飛ばされてゆく。成程これは例の三人組の仕掛けた悪さであったかと気がついたものの時すでに遅かった。この減点の名前はまだない。

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