見出し画像

金持ち教習所 ①

 私は金持ちに成りすましてその教習所に入学した。お金とは無縁で車を運転する予定もなかったが、受験した金持ち大学のすべて不合格だったため、次善の策として教習所にしたのだ。確かにここは金のありそうなヤツばかり。
「ねえ、あの教官のフェイスブック見た? 新しい相棒とか言ってフレンチブルドッグとのツーショットのせてたけどアレ、ウチが捨てた犬よ。保護犬で手に入れたのね」性格の悪い同級生に囲まれながらなも政財界とのコネが作りたかった。(服だってメルカリで見かけたとか自分が売ったと言われているかも知れない)

 そのFB教官との実習の際、妙に通じ合うものを感じてしまった。やはり成りすまし同士というやつかしら? 
「犬、飼っていらっしゃるんですね」すると彼は大きく頷き、
「実は今度の相棒のために新しいランを作ったんだ。親戚の牧場を相続したんでね。良かったらキミもそこで走らないかい?」
やった。これで生き別れた片割れに再会できるんだワン!

410文字

たらはかに様のお題に参加しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?