呪いの臭み ①
初恋ですか? 隣のタケルくんです。気がつくと視線は彼を追いかけていました。授業で先生が質問しました。
「皆さんの将来の夢は何ですか。私たちはこの国を背負って立つために生まれました」
恋敵の花ちゃんが
「頭を守ります」
と答えます。先生はうなずいて
「他には」
と答えを促します。
「足元を固めます」
ケンちゃんが答えます。
「古いよ」
みんなが笑いました。
タケルくんは?
「僕は食べ物かな」
私も彼と同じがいいなと思いました。
秋の到来には失望が待っていました。私たちは切り取られずっしり実った次世代を奪われたのです。でもタケルくんは私のそばにいました。
「私たち何だか臭くない?」
「夢は叶ったのかも知れないね」
彼の言葉に私も苦笑い。
夜誰かがゴミ箱から私たちを拾い上げ、私の一部で首やお腹をグルグルと縛り上げました。私とタケルくんは一心同体になって神社の木の幹に壁ドンされました。花ちゃんで編んだ帽子の女です。
「効き目ないかな、納豆の藁じゃ」
410文字
たらはかに様のお題に参加しています。
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