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それでも地球はまがっている ② 後編

「公開裁判」と模造紙にマジックで書かれている。裁判官姿の人物は日本語を話している。

「あなたはガリレオを迫害しましたか」
「私は神の教えに忠実なであるべきだと考えただけです」
「結局地球は周っていましたよね」
「後でわかったことです。あの当時はそんなことは夢にも考えられませんでした」
「あなたは自分が悪くないと主張するのですか」
「今回は『それでも』に注目したいのです」
検察官が立ち上がった。
「ここでは省略されていますが元がAそれでもBの形だと、結論はBです。つまり、

彼は間違っていた。それでも彼は悪くない。

彼は悪くなかった。それでも彼は間違っていた。

さてどうですか、どちらも同じ事実を語っているのですよ。最近多いんです。『それでも私は悪くない』と開き直る輩が」
「だって仕方ないでしょ時代ですから。カトリックの思想と上下関係と掟ですよ。私は悪くない」
「それでも聖職者ですか。私は曲がったことが嫌いです」

それでも地球は曲がっていた。

410文字

 こっちの部屋は裁判研究サークルかあ。さっき(前編)のは西洋史研究倶楽部のほうがいいかな、部員の美形度で比べたら。
 文化祭を見学ににきていた来年受験生の親はつぶやいた。

終わり

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