「告白雨雲」秋の空編

　洗濯物を干した。布団を干した。トイレと風呂場とキッキンと玄関のマットを洗って干した。カーテンを洗濯して干した。掃除機をかけて部品を取り外してゴミを捨てて水洗いして干した。家中の窓を開けて風を通した。雑巾を洗って干した。柿の実の皮をむいて干した。カーペットをはがして干した。ピクニックに出かけた。運動会の応援に出かけた。街に出かけオープンカフェでお茶を飲んだ。そんな日々をずっと繰り返している。はじめのうち自分が何を待っているのか気がつかなかった。危機感は高まっていた。鉢植えの花は枯れテレビの画面はL字型に青く縁取りされている。私の心は追い詰められて息苦しさに満ちていた。あのとき、「あなたなんか大嫌いよ。二度と会いたくない」と叫んだけれど本気じゃなかった。あなたがいなくなって初めて気がついたの。

テレビの速報通知音にアナウンサーの弾んだ声が続く。
「○○○日続いた晴天記録に終止符が打たれます。雨雲が発生した模様です」

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