顔自動販売機 失敗編
「まずこちらの顔自動販売機でお好きな顔を選んで下さい。そしてこのVRゴーグルをつけます。芸能人やスポーツ選手の顔を選ぶとファンやマスコミに取り囲まれているでしょう? 政治家や犯罪者の顔なら石や罵声が飛んてきます。この疑似体験を楽しんでもらうのです」説明を受けた男はパンフレットの顔のサンプルをめくった。オヤ? これは誰だ? 彼は一人の女の顔に引き寄せられた。どこかで会ったことがあるような気がしたのだ。試しにその女の顔を選んでゴーグルを付けてみた。ええっ俺がいるぞ。鬼の形相で襲いかかってくる。両手を伸ばして首を締めてきた。ウッやめてくれ! 「何が見えましたか?」
「いや何も」
せっかく自白用ビデオを開発してアトラクションだと騙すところまで漕ぎつけたのに。
「あっ、何をするんだ」
逆ギレした容疑者が目の前の女刑事に飛びかかったのだ。
「博士、お手柄です。この顔自動販売機ゲームは、自分の犯行を予見することができるようです」
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たらはかに様のお題に参加しています。