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ほんの一部スイカ ③全身西瓜編

 メロンは激怒した。むろん果実じゃない。外人でもなく、見た目は普通の黒い髪の黒い目だ。そしてボクの彼女だ。初めての出会いは教室だった。黒板に「メロン」と自分で書いた。メロンだってさ、みんなは笑った。歴史の授業で「デカメロン」を習ったときもメロンは笑い者になった。いや自らパーティグッズの付けまつげで目を大きく見せてみんなを笑わせたのだ。デカメロンとは十日物語の意味でメロンはギリシア語で「日」のことだ。LじゃなくてRだし。とボクはメロンをかばった。シャレのわからない人ねと彼女は言った。
 卒業後彼女は店で一番人気の「メロンちゃん」になっていた。というのも毎回毎回ボクが指名していたからだけど。何をそんなに怒っているんだい。だって、あたしの本名がメロンよ? あなたと結婚したら、ほんの一部じゃなくて全部じゃないの、ウオタくん。なんだ、そんなことか、この指輪の石のサイズは確かにスイカだけど、ボクの資産のほんの一部だからね。

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やっばり無粋か?

たらはかに様のお題に参加しています。

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