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zuckinside
マフラーに ③
マフラーにまつわる話といえばどこかで聴いたアニメのエンディング曲、カッコいい女がバイクにまたがって疾走している。何かを追いかけてるのか、誰かに追われてるのかもわからない。彼女の手にかかれば裏切りも防寒具もただの飾りに成り下がった。その眼差しをもう一度確かめたくて探したけれど無駄だった。マフラーが風に泳いでいる。スカーフか何かと勘違いしてない? 風にひるがえしたのはスピード感のためで決して冬のファッションとしてアパレル業界と結託なんてしていなかったと信じたい。まんまと乗せられていたよ。長いマフラーの一端は首に巻きもう一方は後輪にからみついていたじゃないか足元の。あの人を真似て何人命を落とした?
「人違いですわ。あなたがお探しの人はおそらくバッタによく似た改造人間では」
「矢吹だかしまむらだか、とにかく丈さんですねそれを最初にやったのは」
いずれにせよ罪はなかったマフラーに。
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