謹製金星菌性🆚粋製水星衰勢

　夫のシゲルは保育園の同期の披露宴だとかでスイスの粋を結集した粋製スーツを纏いご祝儀3万円を手に会場の水星までスイスイと出かけていきます。今月になって何回目でしょうか。わが家の家計は衰勢の一途ですがそれも冠婚葬祭ですから仕方がありません。
アラこれは何かしら。
クズカコに丸めて押し込まれた『謹製宵の明星』の空き箱。引出物？　もしかして私騙されていたのかしら。あの人のお出かけ先は歓楽街の金星だったの？　そしてこれからも式場メッカリーの水星だといつわり、お小遣いを手におめかしして遊びに行こうという魂胆なのでしょうか。非婚化が進んだとはいえ幼稚園小学校中学高校大学と同期は大勢控えているのです。一番の問題は菌性保育園ですから、それはそれは大勢の仲間に恵まれていたことなのです。
「あっ見つかったか」
シゲルは気まずそうです。
「ねえチコ、今度二人で金星に移住しようよ。下見したけどあそこなら友だちの招待状も追ってこないだろうから」

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たらはかに様の企画の裏お題に参加しています。