ヘルプ商店街 私語り編
とっておきの悪夢がある。一人で夜の電車を乗り換えて家にたどり着こうとしている。駅名が読めない。必死で思い出そうとするがすぐに忘れる。そもそも誰かとはぐれたのか置き去りにされたのもわからない。あ、この駅だったか? 見覚えのある文字、広告。あの出口を抜けてまっすぐ行けば帰れるはずだ。だが駅名はぐにゃりと溶け奇怪な記号に姿を変えていた。さっきまで指先にあったはずの切符も記憶のポケットからこぼれ落ちて乾いた風に吹き飛ばされていた。たすけて、と叫ぶと目が覚めるのだ。きっと予知夢だ。
ママにも困ったものだわ。介助と育児のヘルプの名目でこっちにやって来ておきながら一人で出歩いては迷子になって。この地域は多言語だから表示が絶えず入れ替わるのよね。
ないと思いますが下手の横好き#毎日ショートショートnoteの私めが此処に来て不規則・不投稿化しているのはアクシデントかと訝しまれていたのなら答えはこの商店街にあるかも知れません。
410文字
異国で迷子になって文字が読めなくてもGマップがあれば。そんなことは夢にも思わなかった時代にみた悪夢でしたが。
たらはかに様のお題に参加しています。