オノマトペピアノ　②

ポポパポペピアン！店内放送チャイムが鳴る。「オ・ノマート・ペピアーノ様。楽器売り場にお越しください」
来たな。スティック掃除機を片づけエプロンを外し売り場に急ぐ。アナウンスは社員用の符牒だ。見込み客が現れたぞ、担当者よ副業を切り上げ現場に行け、というわけだ。
で、客はどこだ？　
「御免」一台のピアノがいた。
「オノマトペ一つくれ。例のポポパポペピアン、をくれ。あれが鳴ると仲間が消えて寂しくなったものだ」
暇つぶしクレーマーか。
「あれは売り物ではございません」
「人身売買で訴えてやる」
「そんな。我々だって、いちオノマトペとして仲間を売るわけにはいきません」
「あんたか。あのとき俺を売った擬音さんは。ぐんぐんめきめき？」

年配の夫婦が現れた。
「どうか行かないでピアノさん、娘はモノにならなかったけど今度生まれた孫こそピアニストに！」
ポポパポペピアン！店内放送が鳴る。
「こちらなどいかがでしょう。ヘッドホンをつければ深夜でもシーン！」

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たらはかに様のお題オノマトペピアノ、裏お題ポポパポペピアノに参加しています。