鳥獣戯画ノリ④ 時代は回る編

「鳥獣戯画を大河ドラマにしたら面白いと思わないか？」
タッチパネルを操作しながらたずねてみる。久々の家族での外食だ。
「源氏物語絵巻の向こうを張って、戯画の絵師とされる鳥羽僧正を主役に憶測と捏造でシナリオを書いて、アイドルを主役に立てるんだ。歴史上の有名人や事件も登場させる。いや本物のカエルとうさぎを集めて芸を仕込むのもいいな」
すると小学生の息子はキョトンとして答えた。「ボクらすでに鳥獣戯画なんてよーく知ってるよ。教科書に出てるもん。しかも歴史でも図工でもなく国語。アニメーション作家高畑勲氏の『説明文』だよ」
そうか、おかげでティーンエイジャー以下の国民の方がずっと鳥獣戯画には詳しいんだな。「いっぺん授業でやられるとどんな味つけでも心が拒否しちゃうよね」
なるほど、これは一本取られたな。私はレーンから巻物の皿を取り上げた。源氏物語絵巻だ。それから皿に醤油を注ぎ浸す。息子は黙ってその様子を撮影している。むらさき式武ノリだ。

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たらはかに様のお題に参加しています。