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なるべく動物園 ② 御伽話編

 通りすがりの営業マンが太郎に声をかけてくる。
「いっそ部下の方々に芸を仕込んでサーカスをさせてみてはいかがでしょう?」
名刺にはペットシッター兼トレーナーとある。確かにイヌサルキジの身のこなしや剣さばきには一見の価値があった。話をきいたおばあさんもうなずいた。
「配偶者控除はなくなる、扶養控除はもうない。かと言ってペットじゃ子供手当はもらえない。物価高でエサ代はうなぎのぼり。遊ばせておくくらいなら、この人たちにも稼いでもらうしかないね」
その場にいたイヌサルキジは顔をしかめた。
「いくら芸をやっても動画を撮られて配信されたりしたら、わざわざ観に来る人はいませんよ。その点動物園ならファミリーがピクニックに来たりカップルもデートに来るから、オリで寝てるだけで入場料をいただけますぜ、なるべく動物園で頼みますよ」

 やれやれコイツらももう年だな。太郎はため息をついて身支度を始めた。村人たちが取り上げられたモノを取り戻すために。

410文字

たらはかに様のお題に参加しています。


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