男子宝石 朝ドラ編
「あたし、見ちゃったんだよね」
ルームメイトのリンちゃんが声をひそめる。元が商社OLだけあって世慣れているしジェンダー意識も高い。
「見たって何を?」
上方イントネーションでほっこりと応じる我らがヒロイン。
「何って、鬼教官のエンマ帳よ。全部見た訳じゃないけどおしまいのページに『男子宝石』の文字があったのよ」
「えっ、どういう意味?」
「宝石は非金属でしょ、飛勤続の符牒だよ。要するに女子なんて最初っからはじかれているのよ。馬鹿にするにも程があるわ。絶対に抗議してやる」
鬼教官は静かに帳面をめくる。
「リンさんですね。貴女は一度鬼火になってしまっていますね」
最近は故人をダイヤモンドに加工して欲しいという依頼が増えた。生前贈られなかった女たちが夫の遺灰から宝石を精製させる依頼も少なくなかった。だが残りは閻魔様が趣味で身元不明者からダイヤモンドを作っていたのだ。(だって女子はピアスの貴金属シリコン他不純物が多くて面倒なんだよね)
410文字
実際のドラマとは無関係です。
たらはかに様の企画に参加しています。
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