スライダーの偉大な滑り方 ①
砂井家の初孫はどうやらパーらしい、その証拠に滑り台一つまともに滑り下りることもできないそうだという噂が幼稚園の園庭を駆け巡っていた。
そんなこと言われたって。ボクはどうしても恐怖心に勝つことができなかった。スロープとはいえみすみす落下するなんて。一歩ずつ登りつめてようやくここまできたのに。後続の行列の怨嗟の声が響く、何もバンジージャンプしろと言ってんじゃねえぞ早くしろよノロマ! お滑り台の周囲を十重二十重に取り巻いた行列の圧力とママたちの押したら駄目よコールの真の意味「はよせんかいこのドアホ」の心の叫びに追い詰められて押し出されるように脇に逸れてブザマに坂の途中にこびりつく。滑り台なんてキライダー!
そんな日々も遠い過去、加工されない伐採された大木に跨がって射手の手を借りずとも山の斜面を一気に下ってゆく、まるで弾丸のように。(七年に一度開催される湖のある街の奇祭の主役ペンネーム砂井パア氏談)
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実在の地名団体人物と無関係です。
たらはかに様の裏お題に参加しています。
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