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ヘルプ商店街 ②

 人生の道なかば私は薄暗い商店街の入り口に立っておりました。
『此処より入る者全ての希望を捨てよ』
のアアチ、連なる全蓋式のアアケエドの両脇に林立する店々の奥より罪人たちの助けを求める悲鳴が響いてゐるではありませんか。どうやら手前の店ほど軽い犯罪を扱っており、奥に進むほど凶悪犯罪になってゆくやうです。
「誰かここで罪を買うのですか?」
 とたずねれば先生は
「店内をご覧。値札がついてゐるだらう。殺人は無期懲役或は死刑など」
「成程これは刑法のテキストですね? あれらの泣いてゐる人たちは司法試験に合格できなくて嘆いているのでせう、この森を過ぎ〇〇法商店街△△法商店街と続いてゆくのですね法律の勉強とは本当に大変さうですね」
と他人事にうなずけば先生、
「さうだといつかは出られる見込があるではないか。ここは一生脱出できないHELL府ヘルプなのだよ」
断定ダンテ的なお答え。

 商店WEBに並ぶ罪は岩に刻まれた文字の如く永遠に消ヘないのでした。

423文字

たらはかに様のお題に参加しています。

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