紅葉鳥 ③
紅葉鳥は取り囲まれ押さえ込まれ見事な角を切られていた。
「どうしてあんなことをするの」
「危険だからよ」あれはアイツの武器なんだろうにな。家族と角切りの儀式見学に来ていた少年の頭を先日の出来事がよぎっていた。赤く染まった長い髪の、綺麗に塗られた尖った爪の、職員室に呼び出されて戻ってきた友だちはすっかり別人になっていた。ヘアスタイルは一休さんだし、爪は短く色も落ちている。
「キミ誰。転校生か?」角切りが行われている間彼は落ち着かなかった。紅葉鳥はぐったりと丸まっているように思えた。空が一気に暗くなったのは無数の天使の群れに覆われていたせいだ。
「ごめん、余計なこと言った。一人で逃げたのに」叫びはかき消され、うずくまっていた紅葉鳥は赤く色づいて、隠していた翼を広げた。華奢なペガサスに拉し去られた少年の持ち物から赤い毛染めとマニキュアが見つかったという。一緒に紅葉しようと約束したのに裏切られた友だちは一足早く鳥になっていたのだ。
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