「サラダバス」@たいらショートショート編
「先にお飲み物お伺いしましょうか?」
「水でいい」
妻はメニューをチラリと見て呟く。
「サラダ、いや」
「バス、すばやい、だらサ、」
と夫が応じる。
「それで、いったい何の話だっけ?」
「たいら@ショートショートさんの作品に倣って回文を作ろうとしてるのさ。やっぱり難しいね」
「だったら、いっそ、酢バス(すばす)でいいんじゃない? レンコンのサラダみたいなもんなんだから」女は無邪気に笑う。男は一瞬眉をひそめ、
「でさ、バスが早いと思うわけ」と話を戻した。妻はサラダ以外のメニューを選びながら、
「そうね、でもバスなんて柄悪い人と乗り合わせたら危険じゃないこと?」と髪をかき上げる。だって車でアタシの美貌と仲睦まじいトコ見て欲しいしウフ。いやあねこんな暑い熱いのって。
SaladいやバスすばやいDallas.
ナプキンに鉛筆で書かれた文字。この後彼女は自分の判断を後悔するのだろうか。ウエイターがグラスを置く。
「ご注文はいかがなさいますか?」
410文字
フィクションです。
たらはかに様の企画に参加しています。
たいら@ショートショート様のお題です。
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