山岳フリマ ①
「ニワカ登山者は山を舐めています。低山なら簡単に登れるとタカをくくり街中ではくようなスニーカーに薄手のパーカーですからね。低いのはあんたの自覚だと」語り手は説教モードに入っていた。この先注意の標識を見逃してしまったのか。
「里で山登りが流行っているとな」相手は相合をくずして聞き入っている。
「それにしても助かりましたよ。道に迷ったところここをを発見できて本当にラッキーでした。ところであなたはここに住んでいらっしゃるのですか」
「マタギと木こりをやっております。民俗学研究のため訪れ山にこもって修行をしていたのです」その目は遊びで山を訪れて荒らす人間を憐れんでいるようだった。形勢が逆転し最初の男は気まずそうにエヘンと咳払いした。勢いでそばの山が崩れた。
「あー」
悲鳴とともに二人は古本フリーマーケットの山岳雑誌の山の下敷きになっていた。「日本百低山特集」「週末登山家になろう」よく売れた号だったから大量に出品されていたのだ。
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