「二重人格ごっこ」2人分編
うす汚くてウザい奴と思われているが私の正体は福の神だ。見た目で判断されて非道な扱いを受けたこともあったが、さすがにSNSが普及し情報が拡散するとみんな一様ににこやかに近づいてくる。
「いやあ、良いお天気ですな」見えすいたお世辞や他愛のない世間話を仕掛けてくる。どこに行っても歓迎される。本心かどうかは別として。
ある日のこと
「おいそこのウスノロ! お前だよ、チヤホヤされていい気になるなよ」
いきなりパンチが飛んで来る。ありゃなんだか新鮮な気分だ。だが次の瞬間相手は平身低頭で「あ、御免なさい、どうかお許しください、私のなかの別人格がやったんです。何卒お見逃しを!」
とぺこぺこし始める。「大丈夫ですよ、あなたのほうこそ大丈夫ですか。診てもらったほうがいいですよ」すると再び居丈高に
「放っといてくれよ。どうせおれは真正の二重人格だよ。しかもこれは感染するのさ」
どおりでさっきのパンチで私の内なる貧乏神が目覚めたわけだ。
408文字
「やれやれ困りましたわね。収入の二重%あまりが税金と社会保険料ですってよ? 遊んでる場合じゃねえぞコラ!」
溢れた文字をエピローグにしました。
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