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損の一部真イカ アリキリ編

 私の日本海側にある故郷に毎回マイカーで帰省するのが恒例行事だ。新幹線にしたこともあったが、あまりにも呆気なく着いてしまうし財布との兼ね合いでやはりクルマで渋滞に巻き込まれながらのんびりと地を這って行くのが良い。実家の近所の居酒屋では地酒と新鮮なスルメイカ、ヤリイカ、ホタルイカの烏賊三昧で往路の疲れも癒された。あるときカウンター席の隣の男に声をかけられた。
「イカ保険いかがですか。要するに不漁や値上げで目当てのイカにありつけない場合に保険金が下りるのです。ここらの人は皆加入していますよ」
「なるほど。だが一部の真イカは対象外なのですね?」
 先回りされた相手はハッと私の顔を見直した。
「お前の顔は忘れないぞ、美味しいスイカの一部だと言ってタネを渡し、実がなった暁には独り占めして、よこせと言ったらボウリングの球でも転がすように投げたんだよな、うちの家族の行列に。賠償してもらおうか真イカ以外の部分を」

400文字

たらはかに様の裏お題に参加しています。
シロクマ文芸部部分は締め切りアウトでした💦

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