宝くじ魔法学校 ③

「パスワードを入力して下さい」
好きな言葉でいい?
『宝くじ魔法学校』
「四文字以内で入力して下さい」
じゃあ、
『●●●●』
いったい何て入れたの? 
内緒。
教えてよケチ。
たからくじまほうがっこうだよ。

 彼は書きかけの物語「宝くじ魔法学校」を終わらせないうちに姿を消した。
「中断か。無責任だな」
「行き詰まり」
「魔界の怒りに触れた」
冷たいコメントが増えていく。わかっていた。物語の世界から抜けられなくなっているのだ。彼を助けるには、ログインしてストーリーを書き換える必要があった。だけどあのパスワードは何だったの? 同期の魔女っ子に相談。すると杖を一振り。
「アタシ漢字苦手」
その一言がヒントになった。
寶籤だ。
あとは? 
そうか杖だ。🪄で寶籤を括ると。
『🪄寶籤🪄』
宝くじ魔法括弧! 

 早速ログインして彼が帰還する話をでっち上げた。
「さあ、続きを書いてよ」
「やだよ。あっちの世界で一山当てたところだったのに」

 あれはそういう呪文だったのか。

410文字

たらはかに様のお題に参加しています。

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