うたスト2 「ブーケ・ドゥ・ミュゲ」
歯軋りの音を立て締め上げられる。お腹まわりが苦しい。扉が開くとバレリーナが立ち上がる。シリンダーの棘が櫛歯を弾いて可憐なメロディーを奏でる。
誰かに語りかける彼女の向こうにはスズランの白いブーケが置かれていた。白いふくらみはドレスのパフスリーブを思わせる。反対側にはアマリリスがある。綺麗だなとつぶやく。
ピルエットが緩やかになりお腹も楽になってきた。
ハナガ キレイダト イッタワネ。
アナタ メガ ミエルノ?
ウラヤマシイワ。
イイヤ、ヨク ミエナイヨ。
(キミガ アシヲ タカク アゲテイテモ アオイ ヴェールガ カカッテ イルカラネ)
紙のバレリーナ人形に恋した鉛の兵隊は自動琴に生まれ変わっていた。
308文字
アンデルセン「すずの兵隊」谷崎潤一郎「春琴抄」青豆ノノ×PJ「ブーケ・ドゥ・ミュゲ」のオマージュです。
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