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書庫冷凍 ①

 極寒の極地には測り知れない資源が眠っている。冒険の旅に挑戦してみないか。そんな誘い文句にまんまと乗せられ宝探しに参加してしまった。出発は深夜だ。犬は連れて行けない。寒い。手がかじかむ。硬くならない氷まくら発見。熱はないけどいつか役に立ってくれるだろう。肉だ(トナカイかホッキョクグマか)日付は気にするな。降りそそぐフレークのようだ。奥に進んむと棚状に並ぶ何かが。やった。チョコレートの層か? 一箱ずつチャック付きポリ袋に収まって油性マジックで日付が書かれている。   
「見たな」
背後から声がかかる。寒い上にギョッととして振り向くと兄貴がいた。
「中味はチョコなんかじゃない。お前のカードで借りた図書室の本だ。雨に濡れてページが波打って先生にばれたら弁償させられる」
お宝とは島の地図と錬金術の本だった。

(濡れた本を冷凍庫で凍らせてから水分を取り除き数日間乾燥するまで重しでプレスすると元通りになるそうです。情報番組による)


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