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無人島生活福袋

 家族は騒がしい子連れ若夫婦とその親らしき五人組だった。
「タカシ、席どこも空いてないからママが抱っこしようね」
「バアバが抱っこしますよ」
「優先席つめてもらえば座れるんじゃね?」
タカシを座らせ一行は思いやりゾーンに移動する。
「旅行はどこに行くんだ?」
「ぼく無人島がいい!」
「なにそれ」
「タカシはロビンソンのお話を読んで代理店が企画する『無人島ツアー』に参加したいと言ってるんです」
「危険だわ」
「所詮はクレームや事故のリスクを取りたくない商売人の売り出すモノだから、ちゃんとライフラインも食べ物も揃ってるよ。この間母さんがくれた格安福袋だって中身は始めから、イテッ、」
「その無人島はどこにあるんだ?」
「一般には未公表だけど〇〇諸島周辺に〇〇リゾート開発が人工島を建設する話が出ていて」

 ああ、うるさいなあ。〇〇諸島って、例の海底火山が活動しそうな海域の? 優先席でシマを追われいっそ無人島に行きたいと老教授が火を噴くぶくろ。

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