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ch1120
「チャリンチャリン太郎」純粋編
「じゃあね、チャリンチャリンタロー」私の気配を察し彼は通話を切り上げた。
「誰?」
敢えてきいてみる。
「仕事先」
それが彼と交わした最後のやり取りとなった。
「ふむ、ちゃりんちゃりん太郎」
探偵はメモする。
「その人物に心当たりは?」
「ありません」
「こんな事を言ってはアレですけど」と探偵は前置きして語り始めた。
「このタローは人間なのでしょうか」
「犬とか? 犬が通話しますか?」
探偵はチッチッと指を振る。
「彼は中国関連のお仕事をしていますよね。大楼dalou(ビル)は空耳でタローです」
私は顔をしかめる。中国語は一ヶ月で挫折した。チャリンのチと聞こえる拼音は多い。探偵は示す。
「漢字だとこうです。
『加零、差零、大楼』jialing chaling dalou
ライン通訳だとプラスゼロマイナスゼロビル」
「なにも足さないなにも引かないそんな建物」
わかった。彼はあのアニメ空間のラブホで『天気の子』ごっこをしているのだ。中国人と。
408文字
このフレーズは某ウイスキーのコピーにもありました。実際に発音するとどんな音なのかわかりませんが💦
たらはかに様の企画に参加しています。