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takanoyama
ユニーク輪唱 ①
昔むかしのこと。シンデレラは継ぎの当たった地味な衣装しか持っていませんでした。買いに行こうにも店に着て行く服がそもそも無いのです。それでも招待状は届きますし、行くしかないのでした。(中略)
会場に到着しますとシンとしていた場内にざわめきが広がります。参加者たちの輪唱でした。
ユ◯クロ来たよ。
はじめてみたよ。
ウソ、ウソ、ウソ、
くすくすくすくす、
キャハハ
確かにそう聞こえました。落ち着け、これはただの空耳。集中しなきゃ。周りはみんなカエル、帰る、カエレ! そう思えばいい。ひたすらやるべきことをやるだけ!
鐘が鳴りました。12時です。
「ハイやめ!」
マーク済み解答用紙が回収されます。
「君のパッチワークすごくシックだね」隣の席にいた男子受験生です。
「それに鉛筆が全部uniのB(ブラック)なんて」
あの輪唱は気のせい? 牽制? 性格悪そうな受験生ばっか。入学しても楽しくなさそう。まいっか、どうせ義姉に頼まれた替え玉だもんね。
410字
二人の魔法がとけてその先はまた次回。
こちらの裏お題に参加しています。