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「不思議ドライバー」創世記編
サイレンが鳴った。かき集められた土が袋に詰められる。物語はそこから始まった。土は袋のなかで徐々に今の姿を獲得していく。この世界にいるのは俺ただ一人だ。
試合に負けただけでなく傍にくらったボールで骨折していた。
「藤木くん、大丈夫?」
結局、俺の土気色の顔に最初に気づいたチアガールの伊武と結婚した。だが問題は肋骨というのは何本でもあるということだった。言い訳をするつもりはないが。
一方イブもイブでドラ猫とかの意味で実にドライブな奴だったのだか。
「ねえオタクのご主人って、ああ見えて昔は強豪校の野球部員だったんですって?」
なぜか近所に知れ渡っている。おしゃべり夫人の旦那と飲み歩いたりするものではない。
「えっとね、パパは、ドライ部員だよ、ねえママ」
マネジャー志望の小イブが答える。
「オホホ、それを言うなら、ドライバーよ。不思議なことに」
そして旧姓伊武はまるでおかかえ運転手にむかってするように指をパチンと鳴らすのだった。
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