突然の猫ミーム ①

　ノックの音がした。眠い目でチェーンの隙間から覗くと猫が立っていた。
「突然ですが猫ミーム処理班です。すぐ終わります。仕掛けられたカメラにコレを付けるだけです」
カメラって何？　ここはラブホだ。彼氏は爆睡している。
「この後あなた方は些細なことで破局を迎えるのです。次に出会った男との式の日にさっきの動画が拡散される予定です。リベンジポルノというやつです」
まさか。
「未来のあなたに依頼されて来ました」
早速言われた通りにカメラに細工した。
「これで大丈夫。もう猫が睦み合っているようにしか見えません」
ちょっと待って。両親がビデオカメラで撮り溜めた出生直後の私とか、産湯だの毎回の沐浴だの、本人の許可なく撮影されたパーソナルな動画があるの。非公開とはいえクラウドに保存されていたはず。あれが何かのはずみで流出しても猫にしか見えない処理って出来る？　

　カードで支払ってから、目を覚ました彼に話すと、
「それ、詐欺だろ。俺ら元から猫だし」

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たらはかに様のお題に参加しています。