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だんだん高くなるドライブ  神話編

「イカルス、お前どこにいる?」
上司の怒声が響く。
「迷路っす」
ハンドルを切りながら答える、さっき曲がった気がする角を左折しながら。助手席のディオニスがぐらりとかたむく。シートベルトがかけられないのだ。センサーが光る。

室温20℃ (体温36℃、体温28℃ 。脈拍60、脈拍−)
早くこの迷路を抜けないと。おっと。ブレーキを踏もうとした足が何かに触れた。このレバーは。そうだ、アレだ。思い切って踏み込むと車体は変形し両脇のウイングが広がった。飛べたんだっけこの車。プロペラが周り排気口が火を吹いた。再びセンサーが作動する。

室温19.5℃(体温36.2℃、体温28.2℃。脈拍65、脈拍🌀)
「やめろイカルス!」
なんだ見えてやがんのか。構うもんか。室温と新たに加わった高度と二つの体温は急上昇していく。可哀想なディオニス。全く餌をやり忘れたくらいで冷たくなるなんてな。
「おいイカルス、実験段階でまだ着陸モードが完成していないんだぞ」

410文字

たらはかに様のお題に参加しています。

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