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Photo by
sylacwa
「十年パンイチ」革命編
ロビーの脇の書斎の本棚にアルバムの背表紙を見つけ思わず涙がこみ上げる。
十年パンイチ。
彼との十年3652日は私にとって掛け替えのないのない宝だ。彼の名は昔の人気漫画に登場するペットから頂戴した。腰周りの毛がそこだけ白いこともあった。待って、これは決して泣ける愛犬ものとかじゃない安心して欲しい。
私とパンイチの十年それは主従逆転の歴史だった。老化と成長。衰退する国力と政権の転覆。ホモサピエンスとカニスルプス。半永久生命の反乱と隷属。十年は瞬く間に過ぎ審判の日が訪れた。人類はコテンパンに敗れ私の名は戦犯に連った。
だがそこは鉄板
「コレぢゅーるやねん飯一お前の好きな」
「待て、そいつはイカれている」
聞き覚えのある声が言葉を発し、ショパン英雄ポロネーズが重なる。新大統領ジィューネン・パーンイッチその人であった。
十年(、)パンクチュエーション一日。
いま私は再教育施設に収容されトレパン姿で彼との楽しかった日々を懐かしんでいる。
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たらはかに様の裏お題に参加しています。