枢軸マーガリン ②
スージーとジックからの結婚披露宴の招待状を受け取った村人たちは首をかしげた。あの二人はずいぶん前に結婚したよね? 知らないの? その後でケンカして別れたのよ。 今回は簡素にやるからご祝儀も遠慮します、だってさ。
行ってみるとテーブルに喫茶店のモーニングセットではあるまいし、トーストとドリンクが並んでおりマーガリンが添えられていた。
「いっときボクは健康に良いとか悪とかの流言飛語に惑わされて気位の高い魔女に心を移してしまいました。でも、彼女は水に流すと言ってくれたのです」引出物はマーガリンの詰め合わせだった。招待客の冷蔵庫にはまだ前回川向こうのバタ子さんとの婚儀で貰った乳製品ギフトが残っていた。
「おめでとう。やっぱり他の哺乳類を犠牲にし過ぎた食生活は反省すべきだよね」川向こうでのときは確か加熱するとトランス脂肪酸がどうのという祝辞を送った気がしたが。村長は内心苦笑した。マガリなりにもこの土地の枢軸産業だからな。
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