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お姫様ラッコ ③

「教科書にあった『カレーの市民』覚えてる? ロダンの彫刻なんだけど」
妹たちは例の京大芸人さん? とお約束のボケで返す。あたしは構わず親たちの話を再現する。
「国が危機に瀕しているらしいの。あたしたちあの市民のごとくわが身を捧げるべきなの。『可愛い子には変化をさせよ』つまり皮良い子たちは毛皮となってお国に尽くすの」
「可愛いだなんて、そんなホントのこと言われても〜」
妹たちは物見遊山に出かける風情でゾロゾロ引かれて行く。
 現れたのはうるわしき半ダースの勇者たち。「待ちなさい、君たちは勘違いをしている」
アタシたちだってわかっているの。本当はロザンに会えないって。でも仕方ないじゃない(本当は膝がガクガクしていた)
「あれを見なさい」
グラグラ煮える大鍋。スパイスと煮込まれる肉の香り(もうお終いだわ)
「カレーのつけ合わせは『姫ラッキョ』です。お姫様ラッコでなく」
へなへなとその場に崩れたあたしたちはお姫様抱っこされて城に戻った。

410字

いつもの駄洒落エンドではなく、ほっこりエンドを目指してみました。

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