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休日の幻想
シネマコンプレックスに来るのはいつ以来だろう。たまたま休暇を得て気がつくとここに流れて着いていた。カジュアルなイタリアンで腹ごしらえするも良し書店で立ち読みするも良し。こんなときに限って食指の動く演目がないのはどうしたことか。お子様向けの作品ばかり並んでいる。こんな時間は学校があるだろう? 学級閉鎖を見越して? 数人の若者たちが券売機のまえであれでもないこれでもないと選びかねている。推薦で進学先が決まったなら遊んでないで他のことすべきだ余計なお世話? すぐ前に並んでいる年齢不詳の女性は一枚買っては再びパネルをタッチする。何作ハシゴする気だ? ドリンクとポップコーンを買うとやはりビールとチキンにすれば良かったかな、眠くなるかも知れない。だが不思議と眠くならないのだった。一つ見て居酒屋に寄り再び券売機に並びショッピングセンターを冷やかす。今は何時だろう。終電は。シネコンは巨大な客船と化して夜の海を彷徨っていた。
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