オラオラするTシャツ手触り ③

　Tシャツの都市伝説を教えてくれたのが誰だったか思い出せない。サークルのオリジナルTシャツを作る話が出たとき部員の誰かが話を始めた。お手頃価格ブランドの店で買い物をしていると
「オラオラそこのキミ、このシャツお買い得だよ。◯◯◯が着ているのと同じ生地の限定品」と話しかけられる。
「ホラこの手触り！」
無理やり袖を握らされるとそこにプリントされているのは自分自身の恐怖に引き攣った顔。そしてお前はそのシャツに閉じ込められてしまうのさ。そんな話だ。
　生憎お手頃店には行かない。だから関係ない。Tシャツを握らされそうになってもふりほどけばいいだけさ。

　帰宅途中の夜道で、
「オラオラそこのキミ」
聞き覚えのある声だ。振り向くと果たしてTシャツの男がいた。プリントされているのは、コイツだった都市伝説を教えてくれたのは。思わず手を引っ込めたが奴は生地からニュウッと腕を伸ばし掴みかかり
「ホラこの手触り」

仕方なく今はアンタを狙ってるのさ。

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たらはかに様の裏お題に参加しています。