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「ジュリエット釣り」日本編

私の可愛いお嬢様がにっくきモンターギュの若僧と逐電したとはショックでご飯も喉を通りません。その後二人は北に向かったとか。あるかなきかの蓄えが尽きるとお嬢様は踊りの芸を生かして活計を立て始め、男の方は旧友とやらの紹介で新聞記事など書いていたようです。それも長くは続かずお嬢様が身籠るなり逃げる算段とは見下げ果てた了見。やはり昏睡と半狂乱のすれ違いでございましたよ。

まあ酷い。私の可愛い坊ちゃんの話をさせてくださいな。留学先は倫敦、仕事の赴任先は松山中学でございましたわ。その際は誰かさんなんてほんの脇役。所詮は地方のアイドルですわね。「ターナーでげすな」のシーンで釣り舟から話題になっただけ。

何ですってわたしはてっきりあの顔色の悪い方のほうだとばかり。どちらにしてもお嬢様の男運の無さに変わりはございませんわ。

あら非道いわお姉さまったら。折角こうして女学校の防空壕にて再会できましたのに。

ユリエツト百合の物語でございます。

410文字

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