火星の別件逮捕 ①
何があってもあの赤い星にだけは行きたくない。そんな意識がわれわれ青い星の住人に刷り込まれている。環境が悪い、生命体は粗暴、そこに行くことはステータスにはならない? 一方でロケットは毎日のように発射されているのだ。
悪友エムの赤い星行きが決まった。
「案外悪くない」
「色々楽しい」
「お前も遊びに来いよ」
そんな連絡が来るんだけどどう思う? 妻の視線は胡散くさげだ。
「怪しいわね。噂だとタコの愛人に絡め取られて赤い星当局にでっち上げられた容疑で不当に拘束されるって話よ」
写真のエムはタコと肩を組んでジョッキを片手に笑っている。技術者として数々のアイデアを提案しては却下されていたエム。稼いでいるのか? 自分もそこなら別の道が開けるのではないか?
「イカにもタコたちが仕掛けそうな罠だわ。そうやって釣り上げられたらおしまいよ」
果たして伝説は本当だろうか。我々の祖先が冤罪で逮捕されて赤い星から苛政のここに飛ばされてきたという?
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たらはかに様のお題に参加しています。
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