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相手を褒めないと、自分も褒めてもらえないよ。

なかなか周りを褒めない部下がいる。

その子、といっても25歳くらいの男性なのだけど、その子は広報で働いている(わたしは広報のお手伝いもしている)。

その子は周りの社員よりも数年のキャリアがある。
たとえば誰かが自社サイトに載せる記事の初稿を書いて、その子に提出したとする。

できの良い内容であったとしても、その子は、

「ありがとうございます。では次に進めます」

で終わる。

わたしはいつもそれを見ていて、もったいないあなあ、と思う。

その子は自分が褒められると、とても嬉しがる。
自分では気づいていないだろうが、声のトーンが2オクターブは上がってる。

わたしだって褒められたら嬉しい。
わたしは自分が褒められたいから、とにかく周りを褒める。

べつに出まかせを言うわけじゃない。
仕事でも洋服でも髪型でも「いいね」と思ったら、すぐに口に出すようにクセづけているだけ。

「書き手が喜んでくれれば、次回のモチベーションにもつながって、記事の質も上がることもあるだろうから、良い!と思ったらそれをことばに出して伝えてあげてね」

とは言っているのだが、いまいち実践されてない。
わたしの言い方がぬるいのだろう。

本当はその子に「相手を褒めないと、自分も褒めてもらえないよ」と、強めに教えてあげたい。

褒めることの大切さをいつかコンコンと説きたい(といっても、わたしはお手伝いさんの立場なのでなかなか言う機会がなくて)。

「褒める」というのは、ことばの「いいね」だ。

いまはSNSが普及して、人はみな指先ひとつで相手を褒められるようになった。
広大なネットの世界では、まいにち何人ものユーザーがお互いをポチポチ褒め合っているだろう。
良いことだ。

むしろ「いいね」機能があるから、SNSは盛り上がる。
人生だって同じだ。
ことばの「いいね」があるから盛り上がる。

隣の席の係長は、

「おれはあんまり褒められるの好きじゃない。だってなにか裏があるんじゃないかって勘ぐっちゃうんだよね」

という。
なるほど、そういう考え方の人もいるのか。

と思ったが、このあいだ「そのスラックス、かっこいいっすね」と言ったら、素直に喜んでいた。
すらすら値段やブランドまで教えてくれた。

やっぱりたいていの人は、褒められると嬉しいんだと思う。

現実でも、ことばの「いいね」をたくさん伝えていきたい。

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しばいぬたろう
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