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かわいた砂漠にそびえる冷水機のような人間になりたい。
「水」のおいしさは、水そのもののおいしさでも左右されるが、飲む方法でも大きく変わる。
のどが渇いているとして、水が飲みたいな、と思ったとき、できることなら紙コップはもちろん、カフェオレが合いそうな飲み口の厚いマグカップで飲むより、やっぱり薄い飲み口のキリッとした透明なグラスにサラッと注いで飲みたいものだ。
科学的な根拠はさておき、水は薄いグラスのほうがおいしいと感じやすい飲み物のようで、水専用グラスなんてのも発売されているようだけど、身近なもので代用するなら、ワイングラスなんかで飲むと、よりその水本来のおいしさが引きたつらしい。
わたしが小さいころは、家庭にウォーターサーバーなんてなかったが、いまや当たり前に普及していて、コックを操作してジャーと出てくる水は、いつも冷たくていおいしい。
しかしなんだろう、やっぱりわたしが「うまい!」と感じる水の飲み方は、令和になったこの時代でもこの一択。
ウォータークーラーや冷水機と呼ばれているらしきこのマシン。
体育館とか、デパートのすみっことか、置いてあったよね。いまではだいぶ減ったかもだけど。
小さいころは、これを見つけると、とにかく飛びついて、背伸びしながら飲んでたっけ。
飲むというよりは、吸ってた。
小さな噴水のように、水が下から上にアーチを描いて飛びててくるのだが、まーーーー飲みにくい。
これで水を飲むときこそ、抜群にのどが渇いている場合が多いのに、そういうときに、飲みにくい。
だからこそ、うまいと感じるのかもしれないな。
いまの浄水器や家庭用ウォーターサーバーと比べれば、前時代的なシステムで、水の質も劣るのかもしれないけど、ちょぼちょぼとじれったくもありながら、すこしずつ水のアーチから必死で吸いとった水分だからか、なぜか「うまい!」と感じてしまうんだよなあ。
あまりにも水が吸えないから「コップに汲んで飲みたい…」と思うのは、このマシンの「あるある」だよね。もしコップに汲んでしまったら、それほどおいしいと思わないのかもね。
幼少のころに、真夏の炎天下をくぐりぬけて到着したデパートで飲むこの冷水機の水のまたうまかったことたるや。
部活の大会で遠征した体育館で、友達と並んで飲んだこの冷水機の水のまたうまかったことたるや。
やっぱり、思い出補正も、入っているのかな。
まあ、こうなると昔ながらのファン、てやつになるんですかね。なんにせよ昔ながらの存在で「やっぱいいよねコレ」と思われるって素敵だね。
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