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ゆずのジュースを焼酎グラスで飲んだらレトロモダンにエスプリがきいて旨かった。
とくに毎晩のようにお酒を飲むわけではないけど、焼酎グラスのようなものが棚の奥にありましてね。
グラスといっても陶器のグラスです。外側が深い茶色でザラザラと土っぽい手触り。内側はうって変わって緑色のうわぐすり。錆びた銅のような暗いエメラルドがグラデーションで施されている。
どこで買ったのかなあ。記憶にない。
「これ、焼酎グラス?そばつゆ入れ?」と奥さんに聞くと「1個しかなければ焼酎グラス。2個あればそばつゆ」とのこと。
なるほど、じゃあ1個しかないから焼酎グラスか。
湯呑み茶碗よりも大きい。そう優しくは手になじまず、指先で包み込めないサイズ。
でも冷蔵庫の製氷機でつくった氷なら、ドカドカと気持ち良い量が入りそうな大きさ。
その日は回転寿司から帰ってきて、お腹がいっぱいだったけど、途中で寄ったスーパーで炭酸ジュースを買ったんですよね。ゆずの。500mlのペットボトル。
で、テレビでも観ながらゆっくり飲んでさっぱりしたら、今日一日働いて渇いたこころもさわやかな香りで癒やされるんじゃないかと思ったんです。
でも家に帰ったら、ふと500mlのペットボトルに威圧感を感じてしまって。
寿司でお腹いっぱいだからですよね。
「多いなー」
そこで「そうだ、テキーラみたいにショットグラスで飲んでみたらどうだろう!」と思いついたんですが、そもそも家にショットグラスがない。あ、おちょこは?・・・ない。ふだんは缶チューハイしか飲まない夫婦の家にはおちょこもショットもないでしょう。
それで、見つけたのがこの陶器の焼酎グラス。
予定通り、ザクザクと大量の氷を入れて、ゆずの炭酸ジュースを注ぐ。
シュワシュワワーと、泡と氷で内側のエメラルドは見えなくなった。
ゆずの香りがふわっと漂う。
おおー。
なんか古民家を再生した創作料理屋が、和食フルコースの最初に「アペリティフです」なんてレトロモダンなエスプリをきかせて出してくれそうよこれ。
クイッと飲むと・・・うまーっ!
陶器グラスの肉厚な飲み口が、ゆずの酸味と柑橘の旨味を濃厚にしている気がするー!たぶんー!
はー、うま。
陶器のグラスでゆずのジュースを飲めるようになったらもうりっぱな大人ですよね。
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