「おそい」という世界観を楽しみたいんじゃないか。
わたしは歩くスピードがべらぼうにおそい。
ふつうの人が徒歩10分であれば、徒歩16分くらいかかる。おそく歩くことにポリシーがあるわけでもないし、はやく歩く人はそれだけ時短になるのだから、うらやましい。
会社の人や、奥さんと一緒に歩いていると「なんかおそいね」とせかされる。そうなると、ちいさく息を切らしながらがんばって早歩きをする。
でも、ひとりのときは、はやく歩こうとしても、こころも身体もいやがる。どうせ、いちばんおそい移動手段なのだから「おそい」という世界観をぞんぶんに楽しもうぜ、と身体が言うことを聞いてくれない。
まあたしかに、1日中いろいろな「やらなきゃいけないこと」が山盛りの生活をしていると「いいじゃん、歩いているときぐらい、ゆっくりしようぜ」とは思う。
健康の観点からいうと「歩くスピードがはやい人」はそれが一種の有酸素運動になって免疫力が高く保てるので、「歩くスピードがおそい人」に比べて、ガンや認知症のリスクは2〜3倍も下がるらしい。
会社でも一、二を争う早歩きの上司が「なんで健康診断の問診票に、歩くスピードがはやいかおそいかのチェック欄があるのだろう」と不思議そうにしていたので、たしかにどっちが身体に良いのか調べてみたら、そういうことらしい。
わたしにとってははなはだ残念な結果。
だって、歩く以外の移動手段、たとえば自転車、電車、車、バイク、飛行機、これらすべては歩くよりすこしでもはやく目的地に到着するために利用するんだよね。
だったら「歩く」は移動手段のなかでも「おそい」の代表格なんだから、きっぱりあきらめて、ゆっくり移動させてくれよー。
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