【独自調査】4月以降の観劇、22%が差し控え、見る人も40%が事前清算せず
どうもしばいいぬです。
3月15日から22日にかけて、新型コロナの影響下で演劇を見に行くかどうかについてTwitterの方でアンケート調査を行っており、その調査結果が出ましたのでご報告いたします。
はじめに:アンケートの目的や詳細
調査目的:
現在の新型コロナ感染拡大の環境下において、4月以降の観劇を差し控える層がどの程度いるかを数量的に調査したい。
また、差し控える層や差し控えない層がどういったペルソナに属しているかを明らかにする。
調査媒体:
Twitterにおいて告知を行い、Googleformによってアンケート調査を行いました。
質問票:
調査結果
概要とペルソナ
Twitterで2020年3月15日から3月18日において告知を行い、4349件のインプレッションを獲得し、有効回答数は59件得られました。
アンケートに回答した人々のペルソナは以下のような比率となっています。
以下、アンケート結果を列挙していきます。
2月、3月に見る予定だった演劇を見れたのか
現在の状況で、4月以降の演劇を見に行く意思があるか
見に行かないと答えた方の意見は次のようです。(抜粋)
自分が感染するのはいいが、高齢者に無症状のままうつしたくない
家族に基礎疾患の高齢者がいるためうつすわけにいかない
実際観劇してインフルエンザになったこともあり、今劇場に行くのはこわい。自分は良くても、ちかしい高齢者に無意識にうつすことがこわい。
自分は感染してもよいが、それが原因で高齢者に感染をさせたくないという意見が4意見ありました。自分の感染リスクについて言及した意見(1票)よりも、うつしたくないという意見が多いことは注目に値します。
また、2-3月の演劇を「Covid-19のこともあり、自主的に観に行かなかった公演がある」と答えた人は7名いましたが、そのうち1名を除き、4月以降の公演についても「見に行かない」(5人)、「感染リスクの少ない形で見る」(1人)と答えています。このことから、2、3月に観劇を自粛した層は4月以降も引き続き自粛する可能性があることがわかりました。
4月以降の演劇を見るつもりの人は、予約をするか?
この質問から明らかになった事実は衝撃的です。
つまり4月以降の演劇を見に行きたいと応えた人でも「今は予約しない」、あるいは「事前で精算しない」選択をしている人が39.6%もいることが判明しました。
また、「予約したものは支払い済みだが、これから先は払い戻しが手間なので当日券で行く予定」という意見もありました。
この事実を好意的に受け取るなら、当日券や当日支払いのチケットが通常より多く出ることが想定されます。そのため制作や運営は、当日券の対応の準備をしておく必要があるかもしれない。
事業者と観客の間で、自粛する選択に違いがあるか?
事業者と観客との有意な差を得ることができませんでした。
【統計的注意】上のデータを見ると「観客よりも事業者の方が自粛している」と結論づけてしまいたくなるが、それは統計的に言って誤りです。
というのも、アンケートが59票しか集めることができなかったために、分散が大きくなってしまい、信頼区域が1σ内としても16 .7%ほどあるためです。この仮説を証明するには少なくともあと10倍のアンケート結果を得る必要があります。
しばいいぬがもっと影響力のあるメディアとなれば、もっと正確なデータが得られると思うので、がんばりたいと思います。
アンケートに寄せられたご意見(抜粋)
以下、アンケートに寄せられた意見を列挙します。
出来る限りの対策をして上演して下さるものは感謝して楽しませていただくし、延期、中止を選んだ団体が少しでも負債が少なく、次に向けて走り出して欲しい(観客、週1回以上)
インフルエンザと同じように『普通に日常生活に存在する病気』として対応するべきだと思っている
現在のオペレーションでは経済活動へのデメリットの多さしか感じていない(観客、月1回以上)
上のように「上演するとしても中止になったとしても応援していくつもりである」という旨の意見は数件みられました。
しかしその一方で、上演すべきではない、或いは自己責任論を主張する意見もいただきました。
今はネット配信しかみるつもりはありません(観客、年1回以上)
政府方針に逆らって上演を強行され、私は自らの判断で観に行かないのですが、ただただ悲しいです。 (観客、月1回以上)
夏以降に予定されてる自分が携わる公演すら、上演できるか怪しい。小劇場界は自転車操業だからだ。前公演の余波で公演中止になるかもしれない。
それでも、いいと思ってる。
どちらかと言えば中の人間だが、やはり耐えきれない団体も個人も淘汰される流れなのだと思う。死なない、殺さないことの方が先決だ。(事業者)
上演する場合、(略)現在のcovid-19対策に必要な情報がまとめられた紙やリンクなどを、予約メールやSNSなどで拡散してほしい。それをもとに、当団体ではこのように対応した上で上演を行いますという情報をもらえると、根拠があった上の対応で信頼性が増し観に行こうとより思える。
また、covid-19の感染リスクを考えて上演中止した場合、資金の問題などはあるがそのリスクを犯すことを選択しないで、自分達の意思で中止したことを覚えておいてほしい。会場側の結論の場合はどうしようもない部分があるが、そうでない場合は形を変えたり赤字覚悟で無観客でも上演しないという選択をしたことを覚えておいてほしい。(事業者)
最後に紹介するのは、学生として演劇に携わっている方の意見です。現在のどちらにも振ることのできない、板挟みの現状が率直につづられていました。
3月に制作として公演を行いました。
制作スタッフとその他のスタッフで、危機感や緊迫感に差があり、自分の情報周知能力の至らなさを覚えました。また、やはり上演するにあたり学生の自分が責任を取るという不安感が強く、かなり神経質になってしまった一方で、体調があまりよろしくないお客様のご来場や中止としていた役者面会をしてしまうお客様への不信感などもあり、もう公演を中止した方が楽だったなと何度か思いました。
全員が全員、右向け右で中止にしてしまう昨今の風潮には疑問符が残りつつも、それに対して全面的な苦言を呈する演劇界の対応にも納得がいかないし、いざ自分が公演を打つ側となるとかなりしんどいです。
愚痴っぽくなってしまい申し訳ございませんが、covid-19に対する感想や意見が自分なりにあったので綴らせていただきました。(事業者)
最後に
アンケート結果は以上となります。
最後ですが、しばいいぬとしてのコロナにたいする意見を述べさせてください。
しばいいぬはある種のジレンマに陥っており、いままで、コロナウイルスについての言及を意図的に避けてまいりました。
そのジレンマとはすなわち、公演を行いたい演劇人としての社会的立場とパンデミックの危機という客観的危惧との間のジレンマです。
この病気が、武漢や某舟から得られた情報からして軽視してはいけないものであるということがだんだんわかってきました。
しかしながら、2月末から3月頭にあったイベント自粛という外圧にはどうも疑問符を浮かべざるを得ず、
とはいえ、それに対して文化や芸術という言葉を用いて純粋に反論している演劇界にもなじめずにいました。
しばいいぬとしては、演劇は美術館や映画、音楽ライブなどのクリエイティブ産業の中に位置するものであり、演劇だけで補填などをもとめるのではなく産業全体として対応を求めていくべきだと思っております。
しかしながら、このような見方をする人は思ったよりも少なく、どうも演劇だけでどうにかしようと考えている人が多いという印象を持ちました。
これを読んだ皆様のご意見をお聞きしたいです。
それではここまでお読みいただきありがとうございました。
したっけ
おまけ①観客の意見
直前での開催中止は残念です。
早めに中止、延期を決めてもらえた公演は有り難かったです。
プレイガイドの問題ではありますが、返金までに4ヶ月と言われるとその分別日や他の公演を観に行きたいと思ってもなかなか難しく、辛いです。(観客、月1回以上)
関係者の経済的な負担については、何とかならないかと思います。そのためには観客は臆せず見に行くことだと思っています。 (観客、月1回以上)
行きたい気持ちはあるので、当日券の情報などメール配信してくれるサービスがあるといいなと思います(ツイッターなどは不特定多数が見るので批判が出るのを避けるため) (観客、週1回以上)
上演、延期、中止、それぞれ悩みに悩んで出した結論ですので、我々が口を出すことではありません。出来る限りの対策をして上演して下さるものは感謝して楽しませていただくし、延期、中止を選んだ団体が少しでも負債が少なく、次に向けて走り出して欲しいと願っています。
ただ、元々観に行くつもりもない人たちが上演する団体へ悪意を向けていることは許し難い事だと思っています。(観客、週1回以上)
公演するもしないも沢山考えてくださった結果だと思って受け入れますが、中止での損害はもちろん、公演をした上での希望者への払い戻しや普段と比べての客数減で予定外の赤字になってしまった分も、クラファンや寄付等を募る声を上げて頂きたいです。(観客、月1回以上)
ひと、箱とも衛生管理をして継続してほしいです。 (観客、年1回以上)
インフルエンザと同じように『普通に日常生活に存在する病気』として対応するべきだと思っている
現在のオペレーションでは経済活動へのデメリットの多さしか感じていない(観客、月1回以上)
観客に頼れるところは頼って、スジを通して頑張ってください! 見たい芝居がやっている限り行きます。応援してます!! (観客、月1回以上)
本当に小さな団体が無謀過ぎてついて行くのが大変。いっそ演劇自体から離れようかと思っている。(観客、月1回以上)
ライブでの観劇に劣ることを承知で地方在住者やこのような事態の時、障害者等がお芝居をみれる環境作りについて考えて欲しい。一緒に考えたい(観客、月1回以上)
たとえ収束したとしても今後の公演は感染防止対策をしなければいけないのだから、現時点で対策ができているのであれば開催してほしい(観客、月1回以上)
個々それぞれの立場があるので、一概に公演すべき/すべきでないという議論は意味がないように思う。だが、中止で困窮する個人が出ることには大きな問題がある。 (観客、週1回以上)
コンビニ・スーパー・デパートに通勤電車も動いている中、何で演劇だけが遠慮しなきゃならないのかな、と常々疑問に思っている。 (観客、週1回以上)
それぞれの考えがある上で決まったことなので、どっちも悪くはないと思いますが、やはり今の時期だと上演することが出演者と観客のストレスになる可能性も否定できない。国が何もやらなければどっちともいえないです。本当に未知なウイルスなので正解がないと思います。 (観客、週1回以上)
今はネット配信しかみるつもりはありません(観客、年1回以上)
対応は各団体さまのお考えなのて、中止にしろ続行にしろ、応援していきます。
延期の表現がまちまちなのが気になります(同じ会場で、キャストさまスタッフさまも同じでないと、形が変わってしまうので延期とは言えません)(観客、 月1回以上)
やるにせよやらないにせよご苦労さまです。早く収束するよう祈ってます (観客、月1回以上)
公演を行う団体は事前に協力事項と行えなくなった事(面会等)、また面会が行えない代わりにカーテンコール撮影、来れない方への事前物販等、早めの告知等が行われていて、本当に助かります。 (観客、週1回以上)
政府方針に逆らって上演を強行され、私は自らの判断で観に行かないのですが、ただただ悲しいです。 (観客、月1回以上)
ライブ配信をやるようなことを言っていた劇団たちのほとんどがやっていなかった。
それには何か理由があるのか。
何となく、集客の自信のなさの現れのように思えた。(観客、月1回以上)
おまけ②事業者の意見
観客として劇場に行った時の話です。
お客様は、観劇にきているとはいえ、あきらかにテンションが平常時より下がっており、「ワクワク感」が削ぎ落ちている。スタッフの気配り、作品のクオリティが少しでも甘さが見られれば、その団体自体が今後嫌われるだろうと思うことがありました。(事業者)
現在言われている感染経路も予想でしかなく、日毎に状況が変わっている。自分は演劇関係の仕事をしている他、複数の演劇とは関係のない副業をしているが、しばらくは可能な限り演劇活動には関われないと思っている。夏以降に予定されてる自分が携わる公演すら、上演できるか怪しい。小劇場界は自転車操業だからだ。前公演の余波で公演中止になるかもしれない。
それでも、いいと思ってる。
どちらかと言えば中の人間だが、やはり耐えきれない団体も個人も淘汰される流れなのだと思う。死なない、殺さないことの方が先決だ。(事業者)
感染リスクがある上で上演する場合、団体でどのように対応しているかのみでなく、専門家の意見は様々だが政府など公式発表による現状のcovid-19対策に必要な情報がまとめられた紙やリンクなどを、予約メールやSNSなどで拡散してほしい。それをもとに、当団体ではこのように対応した上で上演を行いますという情報をもらえると、根拠があった上の対応で信頼性が増し観に行こうとより思える。
また、covid-19の感染リスクを考えて上演中止した場合、資金の問題などはあるがそのリスクを犯すことを選択しないで、自分達の意思で中止したことを覚えておいてほしい。会場側の結論の場合はどうしようもない部分があるが、そうでない場合は形を変えたり赤字覚悟で無観客でも上演しないという選択をしたことを覚えておいてほしい。(事業者)
3月に制作として公演を行いました。制作スタッフとその他のスタッフで、危機感や緊迫感に差があり、自分の情報周知能力の至らなさを覚えました。また、やはり上演するにあたり学生の自分が責任を取るという不安感が強く、かなり神経質になってしまった一方で、体調があまりよろしくないお客様のご来場や中止としていた役者面会をしてしまうお客様への不信感などもあり、もう公演を中止した方が楽だったなと何度か思いました。
全員が全員、右向け右で中止にしてしまう昨今の風潮には疑問符が残りつつも、それに対して全面的な苦言を呈する演劇界の対応にも納得がいかないし、いざ自分が公演を打つ側となるとかなりしんどいです。
愚痴っぽくなってしまい申し訳ございませんが、covid-19に対する感想や意見が自分なりにあったので綴らせていただきました。(事業者)
的はずれな意見かもしれませんが、本来俳優やスタッフの体調管理、劇場の衛生管理はどんな時でもとても重要なことなのに、コロナ騒動のせいでどこも「一層取り組んで参ります」みたいにわざわざ声明を出してるのがかっこよくなくて個人的にいやです。(もはやカッコ良さとか言ってられないのも分かります。)そうでもしないとお客さん来ないのか…という寂しさ。 (事業者)
大変だと思いますが、対策をきっちりすれば大丈夫なのかなと思います。観客も詰め込まずゆとりをもたせれば安心感もあるかな。頑張ってください。 (事業者)
中止にすると劇団側への金銭的負担もあると思うので、できる範囲ではやって欲しい。covid-19は個人の予防や日頃の体調管理が重要であると思うので、少しでも不安に思ったら観劇を控えて頂くようアナウンスする(もちろん役者、スタッフも体調面は細心の注意をはらう) しかし、中止にしないことへ苦言を示す人もいると思うので、劇団側では客席の感覚を通常より広くとるなどの工夫は必要。一席空けるくらいの広々としたスペースのが良いと思う。対策をしているという事実が大事だと思う。なので公演を行う劇団も多少の赤字は覚悟で行うことになると思う。それが無理なのであれば早いうちに中止を決断するべきだと思う。 (事業者)
目前に限らず、走り出したプロジェクトを断つ無念は僕の周囲で連日起きています。twitterのタイムラインは「中止」「延期」「白紙」「悔しい」ばかりです。
それでも今はストップすべきだと考えます。「No culture, No life.」だけど、「No life,」に続く言葉はありません。
また演劇人や表現者なら、こういう時こそ事態が収束したときのために表現の爪を磨いでおいてほしい。僕自身もその端くれとして収束の時を待つつもりです。(事業者)
もし集団感染して、誰かの命を奪う事になったら誰が責任をとるのか、取れるのか
無症状の感染者がいる、4メートルでも感染するという事実がある限りワクチンや治療薬が開発されるまで劇場公演は難しいかと思います(事業者)
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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