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公演予算の考え方 ⓪超基礎編

どうも、しばいいぬです。今日からしばらくの間、公演予算の組み方について書いていきたいと思います。今日は超基礎編ということで、予算についての超基本的な考え方を書いていきます。

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忙しい人へのまとめ
・【収入=チケット単価 × 座席数 × ステージ数 × 動員率】。動員率は5ー7割程度とする。公演予算が収入より多くなる場合、助成やクラウドファンディングを考える。
・劇場利用料は公演予算の4分の1から3分の1程度
・公演は「必ず赤字にしてはいけない」のではない。劇団の中長期目標にてらした予算を考える。
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〇見込み収入≦チケット単価 × 座席数 × ステージ数

まずは、チケットの見込み収入をしましょう。

公演の収入はチケットの販売しかありませんので、チケット単価に総動員数をかけた金額が収入のマックスです。実際は全ステージ満員になることはないので、ここから動員率を掛け合わせます。大抵の場合動員率は5割-7割と考えます。これがチケットの見込み収入となります。

【計算】(動員率は60%計算)
チケット単価 2,000円  総動員数    600人  見込み収入    72万円
チケット単価 3,500円  総動員数    400人  見込み収入    84万円
チケット単価 3,000円  総動員数 1,000人  見込み収入  180万円
チケット単価 3,000円  総動員数 2,000人  見込み収入  360万円
チケット単価 5,000円  総動員数 3,000人  見込み収入  900万円

公演予算は基本的にチケットの見込み収入以下にしないといけません。
これで足りない場合は、助成金であるとか、クラウドファンディングを考える必要があります。

〇支出の概算:劇場利用料は、公演予算の3分の1程度

次に全体予算を考えましょう。基本的な指針となるのは、劇場利用料です。

多くの劇場において、劇場利用料は全体予算の4分の1から3分の1程度となるように設定されています。この値段は日本の劇場の経験的なものです。
注意したいのは、必ずしも座席数と比例して劇場の値段は決まっていません。また、劇場それぞれの雰囲気がありますので、それも注意して決める必要があります。

【劇場単価例】(貸出期間1週間。定価。税込価格)
シアター風姿花伝     最大座席数  95名    561,000円
はなまる学習会王子小劇場 最大座席数100名    513,700円
BOX in BOX THEATER     最大座席数120名 1,039,500円
吉祥寺シアター      最大座席数239名    792,000円

○公演は「必ず赤字にしてはいけない」のではなく、劇団の中長期目標に照らして考える

演劇はお金にならないことは、経験者なら痛感しているはずです。それなのに演劇を続ける理由とは、お金稼ぎだけじゃない体現したいことがあるからだと思います。ですので、黒字化を演劇の目的にしてはいけません。

たしかに黒字化は大事です。
ですが、それは最終的に達成したい部分であって、劇団はじめたての頃や、チャレンジングな公演を打つ際に黒字化に固執する意味は全くありません

予算というものを、一つの公演にだけではなく、中長期的に考えていく必要があります。それは劇団全体のヴィジョンとも重ねて考える必要があるものです。

キャパシティーが200を超えてくる劇場の場合、劇場の予約は1年以上前にする必要があります。つまり、自分の劇団が来年までにキャパ200の公演を打ちたいのであれば、もうすでに劇場を抑えている必要があるということです。つまり、なんとなく来年以降の予定が決まっている、という状況になる必要があります。

そうした2年から5年後の未来を見据えたうえで、劇場を選び、その成功ルートの通過点としての今から打つ公演の予算を考える必要があるということです。


最後になりますが、質問です。「演劇のプロデューサーは、しらない演劇のチラシをもらったときに、はじめに何を見るでしょうか?」

回答
A. フライヤーのデザインや雰囲気
B. 劇団名やだれが出演しているか
C. いつ、どこでやっていて、どうやったら予約できるか
D. 劇場名とステージ数とチケット単価


答えはDです。演劇のチラシを見るだけで、劇場を使っているほかの劇団の予算規模を把握することができますので、利用したい劇場があれば、まずはその劇場のチラシを見てみてはいかがでしょうか。

したっけ


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